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海外の部屋を訪ねる

国が変わると、灯りの置き場所が変わります。ヨーロッパとアメリカの家を、居間から寝室まで一軒ずつ。

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アムステルダムの運河沿いの家の二階の部屋。カーテンの無い背の高い窓の前の机に、布の傘の卓上ランプが一台灯り、短い髪の女性が横向きに座って夜の運河を眺めている。机に開いた本と白いカップ、ガラスのコップに白いダリア、窓台のフィカス、壁一面の本棚

海外の部屋を訪ねる vol.08 アムステルダム

窓を隠さずに夜を過ごす アムステルダムの運河の家

九月の終わり、オランダのアムステルダムで日が沈むのは七時半ごろです。運河沿いには、間口が狭くて奥に深いレンガの家が肩を寄せて並んでいて、夜になると、その窓の一つずつに灯りが入ります。この街の家はカーテンを引かないことが多いので、通りを歩くと、よその家の居間がそのまま見える。灯りが、住んでいる人のためだけのものではない街です。三十代のふたりが暮らす家を、二階の表の部屋、一階の奥の台所、階段の順に見ていきます。

ベルリンの古いアパートの居間。天井の丸い漆喰の飾りの中央に、金色の4灯シーリングライト。灰色のソファに腰かけた白髪の男性が白いティーポットから茶を注ぎ、木のテーブルに蜜柑を盛ったガラスの器。背の高い二重の木の窓の外は、向かいの建物の窓明かりと暮れた青い空

海外の部屋を訪ねる vol.07 ベルリン

光の行き先を決める ベルリンの古いアパート

ベルリンでは、百年以上前に建った集合住宅がいまも普通に使われています。天井までが3.5mあって、縁には漆喰の細い飾りが回っている。日本の家とは寸法も作りもまるで違うのですが、三つの部屋を見ていて一つだけはっきりしたことがありました。どの部屋も、部屋全体を明るくしようとしていない。灯りを足すのではなく、光の行き先を決めています。居間、仕事部屋、廊下の順に見ていきます。

スウェーデンの木の家の居間、冬の夕方。白い板壁と白く塗った床、天井に木目の傘が四つ並んだ横長のシーリングライト。灰色のリネンのソファに毛布、木の低いテーブルに蝋燭とコーヒー、窓の外は雪

海外の部屋を訪ねる vol.06 スウェーデン

夏と冬で別の家になる スウェーデンの木の家

スウェーデンの夏は、夜十時でもまだ明るいと言われます。冬はその逆で、昼でも薄暗い。同じ家が季節で別の顔になる場所では、灯りの役目も変わります。夏の朝食の部屋と、冬の居間と、冬の棚。三つ並べてみます。

地中海の白い漆喰の家のリビング。リネンのソファの横に、黒い針金の籠のライトが三つ付いたフロアライト。無花果をつまむ横顔、テラコッタの床、窓の外は夜の海

海外の部屋を訪ねる vol.05 地中海

白い壁は光を返す 地中海の家

ロンドンの家が光を吸うなら、地中海の家は光を返します。厚い漆喰の壁は白く、床はテラコッタ。同じ器具でも、こちらのほうがずっと明るく感じます。灯りの数を増やさなくていいぶん、どこに置くかだけを考えればよくなります。居間、台所、寝室と見ていきます。

ロンドンのテラスハウスの深い緑の壁に、金色のアームと透明ガラスの丸い傘のウォールライト。革のひとり掛けの椅子で本を読む横顔、木の小さなテーブルにウイスキーのグラス

海外の部屋を訪ねる vol.04 ロンドン

壁の色が濃い家 ロンドンのテラスハウス

ロンドンの家は、壁の色が濃いことがあります。深い緑や紺に塗った部屋は写真で見ると素敵ですが、光をよく吸います。同じ器具をつけても、白い壁の部屋ほどには明るくなりません。それでもこの街の人が濃い色をやめないのは、暗さと引き換えに手に入るものがあるからだと思います。居間、台所、書斎と見ていきます。

コペンハーゲンのアパートの白い天井に、金色の腕が左右に伸びた6灯のシーリングライト。灰色のソファで毛布をかけて本を読む後ろ姿、窓辺のモンステラ、木の低い棚

海外の部屋を訪ねる vol.02 コペンハーゲン

四時にはもう暗い コペンハーゲンのアパート

北欧の冬は、日の出ている時間が短くなります。コペンハーゲンでは十二月なら、午後四時を過ぎるともう暗い。一日のうち灯りをつけている時間のほうが長い街で、人は部屋の灯りをどこに置いているのか。居間、台所、玄関の順に見ていきます。

ブルックリンのロフトのレンガの天井に、黒い6灯のシーリングライト。革のソファでノートを開く横顔、木箱に並んだレコード、鉄枠の大きな窓

海外の部屋を訪ねる vol.03 ブルックリン

工場だった建物に住む ブルックリンのロフト

ブルックリンには、工場や倉庫だった建物をそのまま住まいにしている部屋がたくさんあります。天井が高く、窓が大きく、壁はレンガのまま。日本の家とはいちばん条件の違う部屋ですが、灯りの置き方だけは持ち帰ることができます。

パリのアパルトマンの居間の天井に、金色のアームが放射状に伸びた6灯のシーリングライト。緑のベルベットのソファで手紙を読む後ろ姿、大理石のマントルピースに一輪のダリア、窓の外は夕暮れの空とバルコニーの鉄柵

海外の部屋を訪ねる vol.01 パリ

夜が始まるまでの二時間 パリのアパルトマン

パリの夕食は八時ごろから始まる、とよく言われます。では日が暮れてから食卓に着くまでの二時間、家の人はどこにいるのか。居間、台所、屋根裏と順に見ていくと、灯りのつき方でだいたい見当がつきます。

この連載の家と人物は、照明の使い方を伝えるために構成したものです。掲載写真はイメージです。