地中海の白い漆喰の家のリビング。リネンのソファの横に、黒い針金の籠のライトが三つ付いたフロアライト。無花果をつまむ横顔、テラコッタの床、窓の外は夜の海

海外の部屋を訪ねる vol.05 地中海

白い壁は光を返す 地中海の家

ロンドンの家が光を吸うなら、地中海の家は光を返します。厚い漆喰の壁は白く、床はテラコッタ。同じ器具でも、こちらのほうがずっと明るく感じます。灯りの数を増やさなくていいぶん、どこに置くかだけを考えればよくなります。居間、台所、寝室と見ていきます。

地中海の白い漆喰の家のリビング。リネンのソファの横に、黒い針金の籠のライトが三つ付いたフロアライト。無花果をつまむ横顔、テラコッタの床、窓の外は夜の海

天井に触らない夜

白い漆喰の壁は、当てた光をよく返します。だから床に置いた一本を壁に向けるだけで、部屋全体がぼんやり明るくなります。天井の灯りには、この夜は一度も触っていません。 三つの灯りが縦に並んでいて、上は壁、真ん中はソファのあたり、下は足元を照らしています。一本の器具でも、向きを分ければ天井の一台と同じ働きをします。窓の外は夜の海で、星が出ています。 テーブルには無花果と、水のグラスが二つ。彼女は素足でソファに座っています。昼の暑さが引いて、外に出るには少し早い時間。この家では、たぶんこれが一日でいちばん長い時間です。

この照明 ▸ LEDフロアライト 3灯 調光調色

地中海の白い漆喰のキッチン。窓の左右に、金色のアームとボール型の電球のウォールライトを一灯ずつ。石のシンクで桃を洗う横顔、木の水切りに白い皿、窓の外は夕暮れの海

窓の左右に一つずつ

石の流しの真上に灯りをつけると、洗いものをする自分の頭で影ができます。この家では窓の左右に一つずつ、目の高さより少し上に振り分けてあります。そうすると手元に影が落ちません。 白い漆喰は光をよく返すので、二つで足ります。金色の細い腕に、丸い電球がむき出しで付いているだけ。器具が小さいのは、壁のほうが主役だからだと思います。 窓の外は夕暮れの海で、空はまだ明るい。彼女は桃を洗っていて、窓辺にはバジルの鉢があります。日が完全に落ちる前のこの時間に灯りをつけるのは、暗いからではなく、そろそろ夜だと決めるためかもしれません。

この照明 ▸ LEDブラケットライト E26 電球色 850lm

地中海の白い漆喰の家の寝室。アーチ型の窓に木の鎧戸、木のサイドテーブルに黒い小さなデスクライトを一台。リネンのベッドカバー、開いた本と水のグラス、テラコッタの床、窓の外は夜の海と遠くの村の灯り

枕元は部屋を明るくしない

厚い漆喰の壁をくり抜いたようなアーチの窓に、木の鎧戸がついています。開けると、遠くの村の灯りが見えます。 サイドテーブルの上の小さな灯りは下を向いていて、照らしているのは開いた本と水のグラスだけです。ベッドの向こう側は暗いまま。寝室の灯りは部屋を明るくするためのものではないので、これで足ります。 床はテラコッタで、昼のあいだに溜めた熱をまだ少し持っています。壁は厚く、外の熱を入れません。この家の作りは暑さのためのものですが、夜は静かで暗い部屋になります。灯りが一つだけというのは、その作りに合っています。

この照明 ▸ LEDデスクライト

この光のつくり方

白い壁のとき
壁に光を当てるだけで部屋が明るくなります。天井の一台を強くするより、床や壁から壁面へ向けるほうが柔らかく回ります。
流しの上
真上ではなく、窓の左右や斜め前から。真上だと自分の頭で影ができます。
寝室
部屋を明るくしない。手元の本と、水のグラスが見えれば足ります。
光の色
電球色。白い壁に白い光を当てると、明るいだけの部屋になります。

フロアライトとデスクライトはコンセントに差すだけです。ブラケットライトは壁の中の配線につなぐので、いま壁に灯りが無い家は電気工事の店に頼みます。

この部屋の照明

LEDフロアライト 3灯 調光調色

NN-FLO-02

LEDフロアライト 3灯 調光調色

全光束 【9W】850lm/【A60・ST64】810lm/色温度 電球色2700K~昼光色6500K調色可能/寸法 本体サイズ:Φ25cm×H165cm シェードサイズ:Φ12cm×…/質量 4.36kg/電源 AC100V 50/60Hz

器具のみ60W形調光調色セット60W形調光調色A60セット60W形調光調色ST64セット

価格 準備中

LEDブラケットライト E26 電球色 850lm

NN-BRA-04

LEDブラケットライト E26 電球色 850lm

全光束 850lm/色温度 電球色2700K/寸法 ショート:13.6cm×17.8cm/土台:10cm×2.5cmロ…/質量 0.24KG(ショット)/0.28KG(ロング)/口金 E26

ショート・ブラックショート・ゴールドロング・ブラックロング・ゴールド

価格 準備中

LEDデスクライト

NN-DES-04

LEDデスクライト

寸法 直径92×奥行145mm/質量 405.9g/適合電球 E26 口金 60wまで/電源 100V 50/60Hz/本体色 ブラック/ホワイト

ブラックホワイト

価格 準備中

編集後記

ロンドンの次にこの号を作ったので、壁の色の違いがそのまま明るさの違いになるのがよく分かりました。同じ電球でも、白い漆喰の部屋と濃い緑の部屋では体感がまるで違います。うちのカタログにはルーメンの数字しか書いていませんが、本当は「どんな壁の部屋か」とセットでないと意味がないのかもしれません。次はスウェーデンです。夏と冬の話になります。

文・写真=照明堂 編集部

発行=日本ネオン株式会社 2026年09月10日 掲載

この連載の家と人物は、照明の使い方を伝えるために構成したものです。掲載写真はイメージです。

ほかの部屋

パリのアパルトマンの居間の天井に、金色のアームが放射状に伸びた6灯のシーリングライト。緑のベルベットのソファで手紙を読む後ろ姿、大理石のマントルピースに一輪のダリア、窓の外は夕暮れの空とバルコニーの鉄柵

海外の部屋を訪ねる vol.01 パリ

夜が始まるまでの二時間 パリのアパルトマン

パリの夕食は八時ごろから始まる、とよく言われます。では日が暮れてから食卓に着くまでの二時間、家の人はどこにいるのか。居間、台所、屋根裏と順に見ていくと、灯りのつき方でだいたい見当がつきます。

ブルックリンのロフトのレンガの天井に、黒い6灯のシーリングライト。革のソファでノートを開く横顔、木箱に並んだレコード、鉄枠の大きな窓

海外の部屋を訪ねる vol.03 ブルックリン

工場だった建物に住む ブルックリンのロフト

ブルックリンには、工場や倉庫だった建物をそのまま住まいにしている部屋がたくさんあります。天井が高く、窓が大きく、壁はレンガのまま。日本の家とはいちばん条件の違う部屋ですが、灯りの置き方だけは持ち帰ることができます。

コペンハーゲンのアパートの白い天井に、金色の腕が左右に伸びた6灯のシーリングライト。灰色のソファで毛布をかけて本を読む後ろ姿、窓辺のモンステラ、木の低い棚

海外の部屋を訪ねる vol.02 コペンハーゲン

四時にはもう暗い コペンハーゲンのアパート

北欧の冬は、日の出ている時間が短くなります。コペンハーゲンでは十二月なら、午後四時を過ぎるともう暗い。一日のうち灯りをつけている時間のほうが長い街で、人は部屋の灯りをどこに置いているのか。居間、台所、玄関の順に見ていきます。

ロンドンのテラスハウスの深い緑の壁に、金色のアームと透明ガラスの丸い傘のウォールライト。革のひとり掛けの椅子で本を読む横顔、木の小さなテーブルにウイスキーのグラス

海外の部屋を訪ねる vol.04 ロンドン

壁の色が濃い家 ロンドンのテラスハウス

ロンドンの家は、壁の色が濃いことがあります。深い緑や紺に塗った部屋は写真で見ると素敵ですが、光をよく吸います。同じ器具をつけても、白い壁の部屋ほどには明るくなりません。それでもこの街の人が濃い色をやめないのは、暗さと引き換えに手に入るものがあるからだと思います。居間、台所、書斎と見ていきます。