パリのアパルトマンの居間の天井に、金色のアームが放射状に伸びた6灯のシーリングライト。緑のベルベットのソファで手紙を読む後ろ姿、大理石のマントルピースに一輪のダリア、窓の外は夕暮れの空とバルコニーの鉄柵

海外の部屋を訪ねる vol.01 パリ

夜が始まるまでの二時間 パリのアパルトマン

パリの夕食は八時ごろから始まる、とよく言われます。では日が暮れてから食卓に着くまでの二時間、家の人はどこにいるのか。居間、台所、屋根裏と順に見ていくと、灯りのつき方でだいたい見当がつきます。

パリのアパルトマンの居間の天井に、金色のアームが放射状に伸びた6灯のシーリングライト。緑のベルベットのソファで手紙を読む後ろ姿、大理石のマントルピースに一輪のダリア、窓の外は夕暮れの空とバルコニーの鉄柵

天井の灯りを全部はつけない

窓が大きいぶん、パリのアパルトマンは日が落ちると一気に暗くなります。天井が高く、縁に装飾の繰形が回っているような部屋ほど、光は上のほうへ逃げていきます。それでも彼女は、部屋じゅうの灯りをつけてしまうことはしません。手紙が読めるだけの明るさがあれば十分で、部屋の隅が暗いのは気にならない。日本の家なら「まだ暗い」と感じる明るさのまま、この街の人は夕方を過ごしています。 天井の器具も、真下を照らすためのものではないようです。腕が何本かに分かれていて、光はそれぞれ違う方向へ散っていく。真下のテーブルより、壁と天井のほうが明るくなります。部屋が広く見えるのは、たぶんそのためです。

この照明 ▸ LEDシーリングスポットライト E26 調光調色

パリのアパルトマンの台所の天井の黒いレールに、黒い円筒のスポットライトを四灯。大理石のアイランドの天板だけが明るく、チーズと葡萄とワイングラス、石積みの壁と木の食器棚、窓の外はバルコニー

食事より長い台所の立ち話

大理石のカウンターに、チーズと葡萄と赤ワイン。グラスは二つ出ていますが、まだ一人です。招いた側が先に来て、支度をしながら待っている。八時からの食事より、その前の一時間のほうが長くなる家も珍しくないそうです。 面白いのは、この台所の天井が暗いままなことです。明るいのはカウンターの上だけ。人はどうしても明るいほうへ寄っていくので、自然とカウンターのまわりに集まります。部屋全体を均一に明るくすると、逆に人は散らばってしまう。立ち話が続くかどうかは、灯りをどこに置くかで決まる部分がありそうです。

この照明 ▸ LEDライティングレール用スポットライト E26 電球色 10W

パリの屋根裏の部屋。白い梁からねじった茶色のコードで、ひび模様のガラスの球のペンダントライトが一灯。屋根窓の外に亜鉛葺きの屋根が続き、キリムの絨毯の上で靴を履く男性、木のスツールにコーヒーと開いた本

上の階ほど窓の外は屋根

屋根裏の窓を開けると、灰色の屋根がずっと先まで続いています。パリは建物の高さが揃っているので、上に住むほど景色が屋根で埋まっていきます。眺めがいいとは言えませんが、この灰色を見るために屋根裏を選ぶ人がいるのも分かる気がします。 天井は低く、梁はむき出し。彼は靴を履きながら、まだコーヒーを飲み終えていません。天井が低い部屋では、灯りが頭のすぐ近くにあります。朝の光が入ってきても消さずにおくのは、そのほうが部屋が狭く感じないからかもしれません。

この照明 ▸ LEDペンダントライト E17 電球色 440LM

この光のつくり方

天井
一台で部屋を照らしきらない。腕が分かれた多灯の器具か、レールに数を分けて、光を横へ伸ばす。
高さ
座ったときに光源が目に入らないところまで下ろす。低いほど、その一角が部屋から独立する。
光の色
電球色。石とワインと人の肌のための色。白い光にすると、同じ部屋が事務所になる。
消し方
全部を点けない。使っていない場所は暗いままでいい。暗い場所があるから、明るい場所が決まる。

天井に引掛シーリングがあれば、シーリングライトもペンダントも差すだけで付く。ダクトレールも、引掛シーリングに付けるタイプなら工事はいらない。レールを天井に直付けする場合は、電気工事の店に頼む。

この部屋の照明

LEDシーリングスポットライト E26 調光調色

NN-CEI-05

LEDシーリングスポットライト E26 調光調色

全光束 【A60・G95・ST64】810lm/【9W】850lm/色温度 電球色2700K~昼光色6500K調色可能/寸法 幅454mm×奥行454mm×高さ532mm/質量 1.54kg/口金 E26

ゴールド本体のみ(電球付属無し)60W形調光調色LEDセット(~12畳)60W形調光調色A60セット(~12畳)

価格 準備中

LEDペンダントライト E17 電球色 440LM

NN-PEN-06

LEDペンダントライト E17 電球色 440LM

全光束 440LM/600LM/消費電力 60W MAX/色温度 電球色 2700K/電球色 3000K/寸法 引っ掛けプラグ 約φ150×H1310mm(最大・長さ調節可能)/ダクトプラグ 約φ150×H650mm(長さ調節可能)/シェード 約φ150×H156mm/質量 引っ掛けプラグ0.9kg/ダクトプラグ0.76kg

引っ掛けプラグダクトプラグホワイトクラック

価格 準備中

編集後記

パリの部屋を三つ並べてみて、いちばん驚いたのは暗さでした。日本の家の感覚だと、どの部屋も「もう一つ灯りを足したくなる」明るさです。うちが扱っている電球も、明るいものから暗いものまでありますが、これまではどちらかといえば明るい側から勧めることが多かった。この号を作ってから、暗いほうから選ぶ提案があってもいいのかもしれない、と考えています。次はコペンハーゲンの予定です。冬が長く、四時にはもう暗くなる街の灯りは、たぶんパリとはまた違うはずです。

文・写真=照明堂 編集部

発行=日本ネオン株式会社 2026年09月09日 掲載

この連載の家と人物は、照明の使い方を伝えるために構成したものです。掲載写真はイメージです。

ほかの部屋

ブルックリンのロフトのレンガの天井に、黒い6灯のシーリングライト。革のソファでノートを開く横顔、木箱に並んだレコード、鉄枠の大きな窓

海外の部屋を訪ねる vol.03 ブルックリン

工場だった建物に住む ブルックリンのロフト

ブルックリンには、工場や倉庫だった建物をそのまま住まいにしている部屋がたくさんあります。天井が高く、窓が大きく、壁はレンガのまま。日本の家とはいちばん条件の違う部屋ですが、灯りの置き方だけは持ち帰ることができます。

コペンハーゲンのアパートの白い天井に、金色の腕が左右に伸びた6灯のシーリングライト。灰色のソファで毛布をかけて本を読む後ろ姿、窓辺のモンステラ、木の低い棚

海外の部屋を訪ねる vol.02 コペンハーゲン

四時にはもう暗い コペンハーゲンのアパート

北欧の冬は、日の出ている時間が短くなります。コペンハーゲンでは十二月なら、午後四時を過ぎるともう暗い。一日のうち灯りをつけている時間のほうが長い街で、人は部屋の灯りをどこに置いているのか。居間、台所、玄関の順に見ていきます。

ロンドンのテラスハウスの深い緑の壁に、金色のアームと透明ガラスの丸い傘のウォールライト。革のひとり掛けの椅子で本を読む横顔、木の小さなテーブルにウイスキーのグラス

海外の部屋を訪ねる vol.04 ロンドン

壁の色が濃い家 ロンドンのテラスハウス

ロンドンの家は、壁の色が濃いことがあります。深い緑や紺に塗った部屋は写真で見ると素敵ですが、光をよく吸います。同じ器具をつけても、白い壁の部屋ほどには明るくなりません。それでもこの街の人が濃い色をやめないのは、暗さと引き換えに手に入るものがあるからだと思います。居間、台所、書斎と見ていきます。

地中海の白い漆喰の家のリビング。リネンのソファの横に、黒い針金の籠のライトが三つ付いたフロアライト。無花果をつまむ横顔、テラコッタの床、窓の外は夜の海

海外の部屋を訪ねる vol.05 地中海

白い壁は光を返す 地中海の家

ロンドンの家が光を吸うなら、地中海の家は光を返します。厚い漆喰の壁は白く、床はテラコッタ。同じ器具でも、こちらのほうがずっと明るく感じます。灯りの数を増やさなくていいぶん、どこに置くかだけを考えればよくなります。居間、台所、寝室と見ていきます。