東京の賃貸マンションの居間の天井に、黒い腕が六本広がった6灯のシーリングライト。濃紺のエプロンで髪を高く束ねた女性が立って湯呑みを片づける横顔、木の食卓に麦茶のピッチャー、椅子の背にカーディガン

日本の部屋を訪ねる vol.07 東京・賃貸

いつか返す部屋の灯り 東京の賃貸マンション

東京の賃貸マンションの三階です。借りている部屋なので、壁にも天井にも手を入れられません。それでも、この家の灯りは三つとも入れ替わっていました。もとから付いていた白い器具は、箱に入って押し入れにあるそうです。居間、寝室、机の順に見ていきます。

東京の賃貸マンションの居間の天井に、黒い腕が六本広がった6灯のシーリングライト。濃紺のエプロンで髪を高く束ねた女性が立って湯呑みを片づける横顔、木の食卓に麦茶のピッチャー、椅子の背にカーディガン

食卓の上だけは自分で選ぶ

黒い腕が六本、放射状に広がった器具が食卓の上に下がっています。腕の先には透明な丸い電球。ガラスがむき出しなので、光より先に電球そのものが目に入ります。食卓には湯呑みが二つと、麦茶の入ったガラスのピッチャー。椅子の背にカーディガンが掛かったままです。 夜に点けているのは、この一台だけだそうです。「いつか返す部屋なので、壁には何もしていません。天井のこれだけは、自分たちで選びました」。借りている部屋にも、ひとつくらい自分で選んだものがあっていいのだと思います。住んでいる人が立ったまま湯呑みを片づけていて、まだ寝る時間ではなさそうでした。

この照明 ▸ LEDシーリングライト 6灯 E26 調光調色

同じ部屋の寝室の天井から下がる、黒いソケットに透明な丸いフィラメント電球ひとつ。グレーのTシャツの男性がベッドの端で靴下を脱いでいる、丸いスツールに文庫本と眼鏡と目覚まし時計

寝室は電球ひとつ

寝室の天井からは、コードが一本下りているだけです。その先に、丸い電球がひとつ。ガラスの中でフィラメントが四本、まっすぐ立っています。ベッドの脇の丸いスツールに、文庫本と眼鏡と目覚まし時計が置いてありました。 器具を足す話も出たそうですが、やめたと言っていました。「ここは電球ひとつで足りると思って」。明るさを落とせる電球なので、夜中に起きたときはいちばん暗くして点けるそうです。灯りがこれ一つきりというのは、日本の家では少ないほうだと思います。ただ、寝るための部屋にはこれくらいがちょうどいいのかもしれません。窓の外は、隣の家の窓にも灯りがついていました。

この照明 ▸ LEDフィラメント電球 調光調色 E26

同じ部屋の、机だけを置いた小さな洋室。木の机の端に黒い円筒の小さなランプ、台座からコードが壁のコンセントへ。グレーのカーディガンを羽織って手紙を書く斜め後ろ姿、便箋と万年筆と湯気のマグカップ

あとは置くだけで足りた

机だけを置いた小さな部屋です。窓ぎわに幅一メートルの机。その左端に、手のひらに載るくらいの黒いランプが置いてあります。台座からコードが一本、壁のコンセントへ下りていました。天板には便箋と万年筆、鉛筆を挿した木のコップ、湯気の立つマグカップ。 天井の灯りは点けないそうです。「上から全部明るくすると、手元だけ見たいときに落ち着かなくて」。夜はここで手紙を書くことが多いと言っていました。三つの部屋を見て思ったのは、この家の灯りがどれも、差しただけ、置いただけのものばかりだということです。返すことが決まっている部屋の選び方が、そのまま部屋の顔になっていました。

この照明 ▸ LEDフロアランプ E26 電球色 6W

この光のつくり方

光の色
電球色。白い壁と木の床の部屋には、白い光より暖かい色のほうが落ち着きます。
電球
ガラスがむき出しの器具は、電球そのものが見えます。フィラメントの形が部屋の飾りになるので、見た目まで選びます。
数
食卓の上は腕が六本の多灯シーリング、寝室は電球ひとつ。一部屋に一つで足りることがあります。足りないと感じたら、天井を強くする前に、低いところへ一つ置いてみます。
もとの器具
交換して外した器具は箱ごと取っておきます。返すときに戻せると決まっていれば、選ぶときに迷いません。

天井に引掛シーリングがあれば、シーリングライトは差すだけで付きます。電球を替えるのも同じです。受け口を増やす、位置を動かすといった作業は、電気工事の店に頼んでください。
→ 賃貸で自分で替えてよい範囲と、退去時の決まり

この部屋の照明

LEDシーリングライト 6灯 E26 調光調色

NN-CEI-06

LEDシーリングライト 6灯 E26 調光調色

全光束 【6W】600lm/クリア電球【6W】810lm【9W】850lm…/色温度 電球色2700K~昼光色6500K調色可能/寸法 引掛シーリング式:640×152×390(mm)(高さ調節不可)ペ…/質量 約1.94kg(電球含まず)/口金 E26

本体のみ(リモコン無し)40W形調光調色LED60W形調光調色LED80W形調光調色LED

価格 準備中

LEDフロアランプ E26 電球色 6W

NN-DES-02

LEDフロアランプ E26 電球色 6W

全光束 810lm/消費電力 6W/色温度 電球色2700K/寸法 シェードサイズ :直径85×高さ145(mm)ベースサイズ:直径1…/質量 約798.6g

ブラックホワイト器具のみ・電球無し60W形調光調色セット

価格 準備中

編集後記

この号を作りながら、返すことが決まっている部屋のほうが、選び方がはっきりするのだと思いました。触れる範囲が決まっているぶん、迷う場所が少ない。わたしの部屋は好きにしていいはずなのに、天井を見上げて考え込む時間だけが長くなります。次は、中古のマンションを買って直した家です。同じ東京でも、天井に触れる範囲がまるで違います。 H.

文・写真=照明堂 編集部

発行=日本ネオン株式会社 2026年09月11日 掲載

この連載の家と人物は、照明の使い方を伝えるために構成したものです。掲載写真はイメージです。

ほかの部屋

築五十年の木造を買って直した家の食卓。天井を一部だけ抜いて出した黒い梁から、金属のソケットの裸電球が三灯、長さを変えて下がる。藍色の上着の妻が湯呑みを包んで湯気を見ている、藍染めのランナーに急須

日本の部屋を訪ねる vol.03 東京・築五十年

梁から三つ下げた 天井の低い家の灯り

駅から歩いて十五分、細い道の奥にある築五十年の木造二階建て。買ったときは天井が低く、部屋が細かく仕切られていたそうです。壁を何枚か抜いて、居間と食卓をつなげた。天井も一部だけ抜いて、黒く古びた梁を出しました。灯りの話は、その梁が見えたところから始まったと言います。

郊外に建てた平屋の勾配天井の下の食卓。濃い緑のガラスの波形の傘のペンダントが二灯、同じ高さに並ぶ。えんじ色のセーターの妻がマグカップを持って窓の外を見ている横顔、葡萄の器と開いた雑誌

日本の部屋を訪ねる vol.04 郊外・平屋

まっすぐには下ろせなかった 屋根なりの天井の平屋

屋根の形が、そのまま天井になっている家です。二階がないぶん、勾配の低いところと高いところが、ひとつの部屋の中に同居している。打ち合わせで最初に言われたのは、この天井にはそのままでは吊り下げが付きませんという一言だったそうです。九月の夕方、郊外に建てた平屋を訪ねました。

都心の狭い土地に建てた築三年の三階建ての吹き抜け。二階の廊下の高さに、金属のソケットの裸電球が長い布巻きコードで下がる。灰青色のワンピースの妻が手すりから身を乗り出して一階をのぞき込む

日本の部屋を訪ねる vol.06 都心・狭小の三階建て

手の届く高さまで下ろした 狭い土地の三階建て

土地の幅が四メートルないそうです。横に広げられないぶん、上に伸ばした三階建て。一階から三階までを細い吹き抜けが貫いていて、その脇を階段が上がっていきます。廊下と呼べる場所は、この家にはありません。階段がそのまま廊下でした。九月の夜、都心の狭い土地に建った家を訪ねました。

築二十年の中古マンションの八階の食卓。天井のただひとつの受け口から、白い針金の籠の傘のペンダントが一灯下がり、影が天井いっぱいに広がる。画面の端に肩から上だけ写るニット姿の夫、急須と無花果の器

日本の部屋を訪ねる vol.02 東京・マンション

受け口はひとつだけだった 作り直した八階の部屋

築二十年の中古マンションを買って、中を全部作り直した部屋です。八階の南向き。図面を引いてもらう前に言われたのは、この天井にはダウンライトが入りませんという一言でした。そこから先の決め方が、前の号の注文住宅とはまるで違っていました。九月の夕方に訪ねました。