築二十年の中古マンションの八階の食卓。天井のただひとつの受け口から、白い針金の籠の傘のペンダントが一灯下がり、影が天井いっぱいに広がる。画面の端に肩から上だけ写るニット姿の夫、急須と無花果の器

日本の部屋を訪ねる vol.02 東京・マンション

受け口はひとつだけだった 作り直した八階の部屋

築二十年の中古マンションを買って、中を全部作り直した部屋です。八階の南向き。図面を引いてもらう前に言われたのは、この天井にはダウンライトが入りませんという一言でした。そこから先の決め方が、前の号の注文住宅とはまるで違っていました。九月の夕方に訪ねました。

築二十年の中古マンションの八階の食卓。天井のただひとつの受け口から、白い針金の籠の傘のペンダントが一灯下がり、影が天井いっぱいに広がる。画面の端に肩から上だけ写るニット姿の夫、急須と無花果の器

天井にあったのは丸い受け口ひとつ

マンションの天井には二通りあるのだそうです。コンクリートの床板の裏にじかにクロスを貼ってあるものと、床板から少し下げて骨組みを組んであるもの。前者は天井裏に空間がないので、器具を埋め込めません。「業者さんが来て、天井を叩いて、この部屋は無理ですねと」 残されたのは、天井のまん中の受け口ひとつでした。灯りを置ける場所が、部屋にひとつしかない。ふつうに考えると窮屈な条件です。けれどこの家はそこで、明るくすることを諦めました。「一個しか置けないなら、部屋全体を照らすのはやめようって」 選んだのは、白い針金だけでできた傘です。光をほとんど遮らないので、影が壁いっぱいに花のように落ちる。テーブルの上は明るく、壁は模様になり、部屋の隅は暗いまま。器具ひとつで、部屋が三つの明るさに分かれていました。

この照明 ▸ LEDペンダントライト E17 電球色

同じ家の居間。壁ぎわの天井に渡した黒いレールに、円錐形の黒いスポットが三灯。辛子色のカーディガンの妻が背を向けて椅子に座り膝に本、サイドテーブルにマグカップ、奥の食卓には籠の傘の灯り

穴を開けずに横へ伸ばす

居間のほうは、もう一手ありました。壁ぎわの天井に細いレールを一本渡して、そこに小さな器具を三つ。一点しかなかった灯りが、線になっています。本棚の前、壁に掛けた額、椅子の上。向きをそれぞれ変えて、要るところにだけ当てていました。 「電気の工事はしていません」。天井の受け口はダイニングに使ってしまったので、こちらはコードを壁に下ろして、コンセントから電気を取っています。レール自体は天井にねじで留めるので、小さな穴は開く。「分譲だから自分で決められました。借りているところだったら、先に聞かないと駄目でしょうね」 分譲のマンションでは、もうひとつ確かめることがあると教わりました。管理規約です。玄関ドアの外側、外廊下、バルコニー。あのあたりは自分のものではなく共用の部分にあたるのが普通で、灯りを替えられない。「中は自由、外は駄目。境目がドアの厚みのところにある感じです」

この照明 ▸ LEDコンセント式ダクトレール

この照明 ▸ LED配線ダクトレール用スポットライト E26

同じ家の居間の隅。黒い細い棒のフロアライトが床に立って縦にまっすぐ光る。深緑のガウンを羽織り脚を組んで本を読む妻の横顔、スツールにマグカップと木の実の器、丸いラグと鉢植え

三つめは床に立てるだけ

部屋の隅に、黒い細い棒が一本立っていました。縦にまっすぐ光っています。コードは床を伝って、壁のコンセントへ。工事も、天井の穴も、受け口も要りません。買ってきて、置いて、差すだけ。 「これがいちばん最後でした」。住みはじめて半年たったころ、この椅子で本を読む時間が長いと気づいて、足したのだそうです。天井の受け口も、レールも、家を作っている最中に決めなければいけないものでした。けれどこれは、暮らしてから決められる。 灯りを増やす手が三つ並んでいることになります。天井の受け口に差す。レールを渡して横に伸ばす。床に立てる。この部屋は下に行くほど自由で、下に行くほどあとから決められる。天井は作るときにしか触れないけれど、その下は住んでからでも変えられるということでした。

この照明 ▸ LEDフロアライト 調光調色 12W

この光のつくり方

最初に確かめる
天井を叩いてもらう。詰まった音なら直天井で、埋め込む器具は選べない。軽く響けば二重天井で、天井裏に空間がある。
分譲で確かめる
管理規約。外廊下・バルコニー・玄関ドアの外側は共用の部分で、灯りを替えられないのが普通。
一点しか無いとき
部屋全体を照らそうとしない。光を通す傘を選ぶと、器具ひとつで明るいところと暗いところが生まれる。
工事をしないで足す
方法は二つ。コードで壁のコンセントから電気を取るレールと、床に立てるだけの一本。どちらも住んでから決められる。

天井の受け口(引掛シーリング)に差す器具は工事がいりません。差して回すだけです。レールも、受け口に付ける型なら同じように工事なしで付きます。コードで壁のコンセントから電気を取る型も工事はいりませんが、レール本体は天井にねじで留めます。フロアライトはコンセントに差すだけです。天井に器具を直接つなぐ場合と、壁付けの器具を新しく付ける場合は電気工事士の資格が要るので、リノベーションを頼んだ工務店か内装業者、または電気工事店に相談してください。

この部屋の照明

LEDペンダントライト E17 電球色

NN-PEN-05

LEDペンダントライト E17 電球色

全光束 440LM/600LM/消費電力 60W MAX/色温度 電球色 2700K/電球色 3000K/寸法 本体 約φ180×H1280mm(長さ調節可能)/フランジ 約φ84×H105mm/質量 約0.4kg

ブラックホワイトゴールド器具のみ

価格 準備中

LEDコンセント式ダクトレール

NN-SPO-27

LEDコンセント式ダクトレール

全長 0.5Mタイプ 約0.58m/1Mタイプ 約1.08m/1.5Mタイプ 約1.48m/コードの長さ 3m/質量 0.5Mタイプ 約0.5kg/1Mタイプ 約0.82kg/1.5Mタイプ 約0.85kg/電源 AC125V 6A/材質 アルミ+PC

0.5Mタイプ1Mタイプ1.5Mタイプダクトレールのみ・白

価格 準備中

LEDフロアライト 調光調色 12W

NN-FLO-01

LEDフロアライト 調光調色 12W

全光束 800LM(Max)/消費電力 12W/色温度 電球色2700K~昼光色6000K/演色性 ≧Ra85/寸法 1159*150mm

ホワイトブラック

価格 準備中

編集後記

帰りの電車で、うちの売り場を開いて確かめました。レールは二種類置いていて、片方はコードで壁から電気を取る型です。どちらも工事がいらない。それが商品ページのどこにも書いてありませんでした。この号に合わせて説明を足しています。次は、古い一戸建てを直して住んでいる家を訪ねる予定です。天井が低くて梁の出ている家では、また別の決め方になるはずです。

文・写真=照明堂 編集部

発行=日本ネオン株式会社 2026年09月10日 掲載

この連載の家と人物は、照明の使い方を伝えるために構成したものです。掲載写真はイメージです。

ほかの部屋

築五十年の木造を買って直した家の食卓。天井を一部だけ抜いて出した黒い梁から、金属のソケットの裸電球が三灯、長さを変えて下がる。藍色の上着の妻が湯呑みを包んで湯気を見ている、藍染めのランナーに急須

日本の部屋を訪ねる vol.03 東京・築五十年

梁から三つ下げた 天井の低い家の灯り

駅から歩いて十五分、細い道の奥にある築五十年の木造二階建て。買ったときは天井が低く、部屋が細かく仕切られていたそうです。壁を何枚か抜いて、居間と食卓をつなげた。天井も一部だけ抜いて、黒く古びた梁を出しました。灯りの話は、その梁が見えたところから始まったと言います。

郊外に建てた平屋の勾配天井の下の食卓。濃い緑のガラスの波形の傘のペンダントが二灯、同じ高さに並ぶ。えんじ色のセーターの妻がマグカップを持って窓の外を見ている横顔、葡萄の器と開いた雑誌

日本の部屋を訪ねる vol.04 郊外・平屋

まっすぐには下ろせなかった 屋根なりの天井の平屋

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都心の狭い土地に建てた築三年の三階建ての吹き抜け。二階の廊下の高さに、金属のソケットの裸電球が長い布巻きコードで下がる。灰青色のワンピースの妻が手すりから身を乗り出して一階をのぞき込む

日本の部屋を訪ねる vol.06 都心・狭小の三階建て

手の届く高さまで下ろした 狭い土地の三階建て

土地の幅が四メートルないそうです。横に広げられないぶん、上に伸ばした三階建て。一階から三階までを細い吹き抜けが貫いていて、その脇を階段が上がっていきます。廊下と呼べる場所は、この家にはありません。階段がそのまま廊下でした。九月の夜、都心の狭い土地に建った家を訪ねました。

郊外の二世帯住宅の親世帯の居間。天井に白いバーと白い円筒のスポットが四灯並び、四つとも点いている。うす茶のカーディガンの父が新聞を広げる斜め後ろ姿、低いテーブルに急須と菓子器と老眼鏡

日本の部屋を訪ねる vol.05 郊外・二世帯

四つ点ける親、二つで足りる子 ひとつ屋根の二世帯

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