都心の狭い土地に建てた築三年の三階建ての吹き抜け。二階の廊下の高さに、金属のソケットの裸電球が長い布巻きコードで下がる。灰青色のワンピースの妻が手すりから身を乗り出して一階をのぞき込む

日本の部屋を訪ねる vol.06 都心・狭小の三階建て

手の届く高さまで下ろした 狭い土地の三階建て

土地の幅が四メートルないそうです。横に広げられないぶん、上に伸ばした三階建て。一階から三階までを細い吹き抜けが貫いていて、その脇を階段が上がっていきます。廊下と呼べる場所は、この家にはありません。階段がそのまま廊下でした。九月の夜、都心の狭い土地に建った家を訪ねました。

都心の狭い土地に建てた築三年の三階建ての吹き抜け。二階の廊下の高さに、金属のソケットの裸電球が長い布巻きコードで下がる。灰青色のワンピースの妻が手すりから身を乗り出して一階をのぞき込む

替えられる高さに下ろす

吹き抜けの上から、コードが一本下りてきています。先には金属のソケットと、裸の電球がひとつ。天井から一メートル半ほど。ちょうど二階の廊下に立った人の目の高さで止まっています。 この高さは、見た目で決めたのではないそうです。「最初の図面では、いちばん上に付いていたんです。それだと、どうやって替えるんですかと聞いて」 吹き抜けの天井は三階の高さにあります。脚立は入らない。足場を組めば替えられますが、そのたびに人を呼ぶことになる。「コードを長くしてもらって、二階から手が届くところまで下ろしました」。電球ひとつのために、図面を一度戻したことになります。「そこだけは譲りませんでした」

この照明 ▸ LEDソケット照明 E26 引掛け式

同じ家の二階の細長いLDK。天井に金属のバーと琥珀色のガラス球が四つ並ぶ器具が直付け。奥は流しから三口コンロまで一続きの台所。深緑のシャツの夫が背を向けて土鍋から取り分ける、湯気の立つ土鍋と取り皿

細長い部屋には、細長い器具

二階がまるごと台所と食卓と居間です。幅が狭いぶん、奥行きだけが長い。天井の真ん中に丸いものを一つ置くと、部屋の端が届かなくなるそうです。 付いているのは、まっすぐな金属のバーに、琥珀色のガラスの球が並んだもの。部屋の長い辺に沿わせてあります。「細長い部屋なので、細長いものを探しました。それだけの理由です」 台所は流しから火口まで一続きの、よくあるかたちです。手元は天板の上が明るければいい。「最初は台所の上にもう一台つける話だったんですけど、換気扇の中に灯りが入っているので、いらなかった」。天井の器具は、この家では一部屋に一台だけです。

この照明 ▸ LEDシーリングライト 6灯 E17 調光調色

同じ家の三階の子どもの勉強部屋。作り付けの机の端に、木の傘のクリップライトが挟んである。開いたノートと鉛筆、椅子に掛けたパーカー、床にリュック、少し開いた引き戸から廊下の灯りが伸びている

置けないから挟んだ

三階は子どもの部屋です。机は窓の下いっぱいに作り付けてあって、天板の上に置けるものが限られています。 「スタンドを買ってきたんですけど、置くと教科書が広げられなくて」。返品はせずに一階で使っていて、代わりにここへ来たのが、天板の端に挟むタイプでした。木の輪を二本重ねた傘で、蛇腹の腕が自由に曲がります。 天井には何も付いていません。「夜はこれだけです。足りないときは、廊下の灯りをつけたままにしておくみたいで」。狭い家を回っていると、灯りを増やすかどうかより、置く場所があるかどうかで決まっている場面が何度も出てきました。

この照明 ▸ LEDクリップライト 調光調色

この光のつくり方

替える人のことを先に
吹き抜けや階段の上に付けると、脚立が届かない。図面の段階で相談して「これは誰がどうやって替えるのか」を聞いておく。
コードの長さで直せる
高い天井から吊るす器具は、コードを長くすれば手の届く高さまで下ろせる。位置を変えるより安く済むことが多い。
細長い部屋
丸い器具を真ん中に一つ置くと端が届かない。部屋の長い辺に沿う細長い器具のほうが、同じ数で行き渡る。
置き場所から決める
机が狭いなら、置くものではなく挟むものにする。灯りを増やす前に、置く場所があるかを見る。

天井の受け口(引掛シーリング)に差す器具は工事がいりません。差して回すだけです。コードの長さを変える、吹き抜けの高い位置に器具を付ける、新しく配線を出す、といった作業は電気工事士の資格が要ります。建てた工務店か内装業者、または電気工事店にお願いしてください。吹き抜けや階段の上の器具は、足場がないと手が届かないことがあります。器具の高さは、取り付けの前に「あとで誰がどうやって電球を替えるか」まで決めておくと、住んでから困りません。

この部屋の照明

LEDソケット照明 E26 引掛け式

NN-PEN-07

LEDソケット照明 E26 引掛け式

寸法 引掛け式 ソケット H88mm×φ32mm/コード長さ約1m レー…/口金 E26/適合電球 60Wまで対応/材質 アルミニウム、PC

引掛け式ダクトレール式1ダクトレール式2コンセント式

価格 準備中

LEDシーリングライト 6灯 E17 調光調色

NN-CEI-03

LEDシーリングライト 6灯 E17 調光調色

色温度 電球色2700K~昼光色6500K調色可能/寸法 約φ478*840mm/質量 約3.3kg(電球含まず)/口金 E17/適合電球 40W Max × 6Pcs

6灯・ホワイトガラス×ゴールド4灯・アンバーガラス×ゴールド4灯・クリアガラス×ブラック器具のみ(電球・リモコン付属なし)

価格 準備中

LEDクリップライト 調光調色

NN-DES-05

LEDクリップライト 調光調色

全光束 【6W】600lm/【9W】850lm/色温度 電球色2700K~昼光色6500K調色可能/質量 約480g/適合電球 E26 口金 60wまで/電源 AC100V 50/60Hz

ナチュラル本体のみ(電球付属無し)40W形調光調色セット60W形調光調色セット

価格 準備中

編集後記

うちの売り場には、コードの長さを選べる器具がいくつかあります。長さは商品ページの隅に小さく書いてあるだけで、なぜそこを選ぶのかは書いていませんでした。この家を見て、長さは見た目の話ではなく、あとで自分が届くかどうかの話だと分かりました。次は、賃貸のまま灯りを変えた部屋を訪ねる予定です。

文・写真=照明堂 編集部

発行=日本ネオン株式会社 2026年09月10日 掲載

この連載の家と人物は、照明の使い方を伝えるために構成したものです。掲載写真はイメージです。

ほかの部屋

築五十年の木造を買って直した家の食卓。天井を一部だけ抜いて出した黒い梁から、金属のソケットの裸電球が三灯、長さを変えて下がる。藍色の上着の妻が湯呑みを包んで湯気を見ている、藍染めのランナーに急須

日本の部屋を訪ねる vol.03 東京・築五十年

梁から三つ下げた 天井の低い家の灯り

駅から歩いて十五分、細い道の奥にある築五十年の木造二階建て。買ったときは天井が低く、部屋が細かく仕切られていたそうです。壁を何枚か抜いて、居間と食卓をつなげた。天井も一部だけ抜いて、黒く古びた梁を出しました。灯りの話は、その梁が見えたところから始まったと言います。

郊外に建てた平屋の勾配天井の下の食卓。濃い緑のガラスの波形の傘のペンダントが二灯、同じ高さに並ぶ。えんじ色のセーターの妻がマグカップを持って窓の外を見ている横顔、葡萄の器と開いた雑誌

日本の部屋を訪ねる vol.04 郊外・平屋

まっすぐには下ろせなかった 屋根なりの天井の平屋

屋根の形が、そのまま天井になっている家です。二階がないぶん、勾配の低いところと高いところが、ひとつの部屋の中に同居している。打ち合わせで最初に言われたのは、この天井にはそのままでは吊り下げが付きませんという一言だったそうです。九月の夕方、郊外に建てた平屋を訪ねました。

築二十年の中古マンションの八階の食卓。天井のただひとつの受け口から、白い針金の籠の傘のペンダントが一灯下がり、影が天井いっぱいに広がる。画面の端に肩から上だけ写るニット姿の夫、急須と無花果の器

日本の部屋を訪ねる vol.02 東京・マンション

受け口はひとつだけだった 作り直した八階の部屋

築二十年の中古マンションを買って、中を全部作り直した部屋です。八階の南向き。図面を引いてもらう前に言われたのは、この天井にはダウンライトが入りませんという一言でした。そこから先の決め方が、前の号の注文住宅とはまるで違っていました。九月の夕方に訪ねました。

郊外の二世帯住宅の親世帯の居間。天井に白いバーと白い円筒のスポットが四灯並び、四つとも点いている。うす茶のカーディガンの父が新聞を広げる斜め後ろ姿、低いテーブルに急須と菓子器と老眼鏡

日本の部屋を訪ねる vol.05 郊外・二世帯

四つ点ける親、二つで足りる子 ひとつ屋根の二世帯

同じ家です。玄関がひとつ、廊下がひとつ、その先で左右に分かれて、間取りも広さも同じ居間がふたつ並んでいます。設計の打ち合わせでいちばん長くもめたのは、部屋の広さでも収納でもなく、明るさだったそうです。九月の夕方、親と子が住む二世帯の家を訪ねました。