ブルックリンのロフトのキッチン。木の天板のアイランドの上に、真鍮のソケットと茶色い布巻きコードのペンダントライトを三灯。レンガの壁と鉄枠の窓、コーヒーを淹れる横顔、切ったレモン

vol.07 キッチンのあかり

台所は、天井より手元。

台所の灯りは、部屋の真ん中にあっても仕方がない。刻む場所、洗う場所、皿を出す場所。手が動く場所はぜんぶ端のほうにある。海外のキッチンの写真を見ていると、天井のまん中がぽっかり空いていることに気づく。灯りは全部、壁ぎわと天板の上に下りている。九月の今月は、ブルックリンからコペンハーゲン、地中海、ロンドン、パリ、スウェーデンまで。六つの台所の、手元のあかり。

ブルックリンのロフトのキッチン。木の天板のアイランドの上に、真鍮のソケットと茶色い布巻きコードのペンダントライトを三灯。レンガの壁と鉄枠の窓、コーヒーを淹れる横顔、切ったレモン

傘をやめて、真鍮のソケットだけ。

アイランドの上に何を吊るか、いちばん迷うところだと思う。大きな傘を三つ並べると、向こう側にいる人の顔が見えなくなる。真鍮のソケットだけなら、高さ8.8cm、太さは親指ほど。電球を入れても手のひらの長さくらいで、視界をほとんど遮らない。コードは1mの茶色い布巻きで、そのまま天板から70cmのところまで下ろす。夏の朝、湯を注ぐ音だけの時間に、電球のフィラメントが三つ並んでいる。

この照明 ▸ LEDソケット照明 E26 ソケットH88×φ38mm

コペンハーゲンのアパートのキッチンの天井に、白いダクトレールと黒い椀型のスポットライトを三灯。棚の器と保存瓶に光が当たり、シンクでグラスを洗う後ろ姿、窓の外は雪

一本のレールに、三つの持ち場。

細長い台所は、天井のまん中に一灯置いても端まで届かない。レールを一本渡して、三灯を別々の方向へ振る。シンクにひとつ、まな板の上にひとつ、棚にひとつ。傘は幅12.5cm、高さ25.2cmの小さな椀で、外は黒、内側は金色。金色の内側は光をやわらかく返すので、手元が固くならない。北の冬は朝八時でも外が青いままで、この三つが先に一日を始める。

この照明 ▸ LEDレールライト E26

地中海の白い漆喰のキッチン。窓の左右に、真鍮のアームとボール型の電球のウォールライトを一灯ずつ。石のシンクで桃を洗う横顔、木の水切りに白い皿、窓の外は夕暮れの海

窓のわきに、ボール球をひとつずつ。

洗い場の真上に灯りを付けると、自分の頭で影ができる。窓の左右、床から160cmくらいの高さに一灯ずつ振り分けると、手元に影が落ちない。真鍮の棒は幅13.6cm、高さ17.8cm、座金は直径10cmの小さなもので、850lmの電球色。白い漆喰の壁は光をよく返すから、この二灯で流しのまわりは足りる。夏の夕方、海が暗くなるより先に点ける。

この照明 ▸ LEDブラケットライト E26 電球色 850lm

ロンドンのテラスハウスのキッチン。深い緑の壁の木のオープン棚の下に、白い直管の手元灯を一本。まな板の玉ねぎを刻む横顔、ホーローの鍋、窓の外の街灯

棚の下に、細い一本を隠す。

包丁を使うところだけは、明るくないと困る。棚板の下に、608×53×43mmの細い器具を一本。薄いので、下から見上げないかぎり器具そのものは目に入らない。20W形の直管で電球色は900lm、昼光色にすれば1100lm。緑の濃い壁は光を吸ってしまうけれど、真下の天板だけならこの一本で足りる。秋の夜、天井を消したまま玉ねぎを刻む。

この照明 ▸ LEDトラフ型1灯式器具 20W形蛍光灯 電球色 10W

パリのアパルトマンのキッチンの天井の黒いレールに、黒い円筒のスポットライトを四灯。大理石のアイランドの天板だけが明るく、葡萄をつまむ横顔、奥に木の食器棚

大理石の上だけを、明るくする。

夜の台所は、全部明るくしなくていい。黒いレールに円筒を四つ並べて、全部を真下の天板へ向ける。石の白さが光を返して、そこだけ食卓のようになる。一灯は長さ約20cm、シェードはΦ57.5mm×H95mmの細さで、850lmの電球色3000K。天井のモールディングは暗いままでいいと思う。秋の夜、葡萄とチーズと、グラスがふたつ。

この照明 ▸ LEDライティングレール用スポットライト E26 電球色 10W

スウェーデンの木の家のキッチン。朝食のカウンターの上に、黒い針金の花びらのような傘のペンダントライトを二灯。パンにバターを塗る横顔、白い板壁に落ちる傘の影、窓の外は赤い家

針金の傘は、影まで持ってくる。

朝食だけのための細いカウンターに、二灯。針金を花びらのように曲げた傘は、光をほとんど遮らないので、明るさは電球そのままに近い。かわりに影が出る。白い板壁に花の形が二つ落ちて、朝のあいだだけそこにある。440lmと600lmから選べて、色は電球色。夏のスウェーデンは朝から外が明るいのに、それでも点けたくなるのはたぶん影のためだ。

この照明 ▸ LEDペンダントライト E17 電球色

この光のつくり方

高さ
アイランドや朝食カウンターの上は、天板から70〜75cm。立っている人の視線より下に光源が来ると、向かいの顔が見えなくなる。
向き
レールのスポットは、シンク・まな板・棚に一灯ずつ。三つとも同じ方向へ向けない。
手元
包丁を使うところは棚の下から。真上に付けると自分の頭で影ができるので、前か横から当てる。
食べ物と木の天板は電球色。刻む場所だけ白くしたいときは、昼光色に切り替えられる直管を選ぶ。

ペンダントライトは、天井に引掛シーリングがあれば差すだけで付く。ダクトレールも、引掛シーリングに付けるタイプなら工事はいらない。レールを天井に直付けする場合と、壁のウォールライト、棚の下に固定する直管の器具は、壁や天井の中の配線につなぐので電気工事の店に頼む。スポットはレールに差してから、手で向きを変えられる。

この部屋の照明

LEDレールライト E26

NN-SPO-17

LEDレールライト E26

寸法 (約)幅125×高さ252mm/質量 (約)295.3g/口金 E26/電源 100V 50/60Hz/材質 スチール(粉体塗装)、PC

ブラウンナチュラルブラックグレー

価格 準備中

LEDブラケットライト E26 電球色 850lm

NN-BRA-04

LEDブラケットライト E26 電球色 850lm

全光束 850lm/色温度 電球色2700K/寸法 ショート:13.6cm×17.8cm/土台:10cm×2.5cmロ…/質量 0.24KG(ショット)/0.28KG(ロング)/口金 E26

ショート・ブラックショート・ゴールドロング・ブラックロング・ゴールド

価格 準備中

LEDトラフ型1灯式器具 20W形蛍光灯 電球色 10W

NN-STR-18

LEDトラフ型1灯式器具 20W形蛍光灯 電球色 10W

全光束 昼光色1100lm/電球色900lm/消費電力 10W/色温度 昼光色6500K/電球色3200K/器具サイズ 608×53×43mm/口金 G13

単品のみ(蛍光灯別売り)標準タイプ・昼光色標準タイプ・電球色広配光タイプ・昼光色

価格 準備中

LEDペンダントライト E17 電球色

NN-PEN-05

LEDペンダントライト E17 電球色

全光束 440LM/600LM/消費電力 60W MAX/色温度 電球色 2700K/電球色 3000K/寸法 Φ35*H92 mm/Φ40*H75mm/質量 約0.4kg

ブラックホワイトゴールド器具のみ

価格 準備中

編集後記

今週は自分の台所で、天井を消して三日過ごした。刻むのは平気だった。困ったのは棚の奥から瓶を探すときで、結局スマートフォンの灯りで覗いた。棚の下の一本は、たぶんいちばん先に足すべき灯りだ。 H.

ほかの部屋

地中海の白い漆喰の家のリビング。リネンのソファの横に、黒い針金の籠のライトが三つ付いたフロアライト。無花果をつまむ横顔、テラコッタの床、窓の外は夜の海

vol.06 海外の部屋のリビング

その部屋の国籍は、天井で決まる。

海外の部屋の写真を見ていると、家具より先に灯りが違うことに気づく。天井いっぱいの白い一灯ではなく、六つの電球が斜めに散っていたり、壁の一灯だけで夜を過ごしていたり。真似できないのは間取りと窓の大きさで、真似できるのは灯りのほうだ。今月はパリからブルックリン、コペンハーゲン、地中海、ロンドンまで。六つのリビングを回る。

小さな花屋の作業台の上に、透明なひだのあるガラスの傘のペンダントライトを三灯。ダリアとユーカリの束、麻紐、ハサミ、花を束ねる手元

vol.05 店のあかり

店の灯りは、商品のためにある。

いい店は、入った瞬間に何を売っているかがわかる。それは看板じゃなくて、灯りの向きで決まる。花には花の、服には服の、酒には酒の光がある。今月は、店のあかり。雑貨店からギャラリー、美容室、バー、カフェ、アパレルまで。

寝室の枕元の壁に、真鍮の曲がったアームに透明ガラスの丸い傘のブラケットライト。白いリネンのベッドで本を読む手元と眼鏡

vol.04 寝室と書斎

手元に、ひとつ。眠る前と、働く夜の灯り。

寝室の灯りは、部屋を照らすためのものじゃない。枕元の本と、手元だけを照らせばいい。書斎も同じで、机の上の一冊分の光があれば仕事はできる。今月は、手元の灯り。壁に付けるもの、机に置くもの、棚に挟むもの。

夜のリビング。グレーのソファの横に、黒い棒状のライン型フロアライトを一本。ソファで本を読む後ろ姿、ローテーブルにワイングラス

vol.03 リビングのあかり

リビングは、天井を消してから始まる。

夕食が終わって、テレビを消して、天井の灯りも消す。残るのはソファの横の一本と、窓の外の街の灯りだけ。リビングの夜は、そこからが本番だ。今月は、天井の灯りと床の灯りの使い分け。昼と夜で、部屋をふたつ持つ話。